スキー・スノボ保険と通常の傷害保険の違い


はじめに

スキーやスノボに怪我は付き物とまでは言えず、無理しない限りほとんど怪我はしませんが、だからといって、怪我したときや、特に、見ず知らずの人を怪我させてしまったときのことを全く考えてないというのは問題です。

そこでこの記事では、スキー・スノボ保険について、一般的な傷害保険と何が違うのかを含めて、そのポイントを簡単に紹介説明したいと思います。

なお、保険の契約前にはしっかり約款を確認する必要があります。

傷害保険と個人賠償責任保険

いわゆるスキー・スノボ保険というものは下記の4つの保険からなります。

  1. 自分が怪我したときの傷害保険
  2. 誰かを怪我させてしまった場合の個人賠償責任保険
  3. 身の回り品の盗難や破損を補償する携行品損害保険
  4. 遭難時の救難費用を補償する救難費用保険

ここで、3.携行品損害保険と4.救難費用保険は、特約的な位置付けとも言え、あくまでメインは、傷害保険と個人賠償責任保険です。

したがって、既に傷害保険に加入済みの人は個人賠償責任保険に追加で加入するだけで十分かもしれません。

さらに、傷害保険や自動車保険等、既に加入済みの他の保険に特約で個人賠償責任保険が付いているケースも多く、知らないうちに入っている人も多いですが、その場合は一切不要となります。

また、年に数回しか行かないという人の場合、年間契約の保険ではなく、特定の旅行期間中のみを補償対象とする旅行傷害保険を利用した方が合理的です(旅行期間中のみが保険対象なので1日当たり換算すると割高という計算になるのですが、出費は旅行ごと数百円で済むので出費合計は安くなります)。

スキー・スノボ保険の本質

じつは、そもそも、スキー・スノボに特化したスキー・スノボ保険というものは私が知る限りありません(この文だけ読むと何言っているか意味不明かもしれませんが)。

年間型傷害保険がベース

まず、一般の年間契約型の傷害保険に、個人賠償責任特約、携行品特約、救難費用特約を付けて、スキー・スノボ旅行者向けにアレンジした傷害保険(単なるオプション組み合わせの1パターン)を、「スキー・スノボコース」「スキー・スノボプラン」といった名前で販売しているものがあります。

これは、通常の傷害保険のオプション組み合わせの1パターンでしかなく、補償範囲に特段違いはありません。

ポイントは以下になります。

  1. スキー・スノボコースという名前なだけで、スキー・スノボ事故から生じた障害のみが保証されるわけではなく、保険期間中(通常1年自動更新)であれば他の日常生活から生じた障害も補償されます。
  2. 逆に、特にレジャーとかスキーとかの名前のない通常の年間契約型の傷害保険でも、スキーやスノボから生じた障害もプロ選手とかでない限り補償されます。
  3. 「スキー・スノボ向けプラン・コースだと補償範囲がスキーやスノボから生じたものに限定されている結果保険料が安くなる」といったことは一切ありません。

つまり年間契約型の「スキー・スノボコース」や「スキー・スノボプラン」を検討する場合、スキー・スノボといった名前のつかない(そういった名前の商品を出していない保険会社の)一般的な傷害保険も考慮に入れて検討する必要があります。個人賠償責任・携行品保険・救難費用保険はオプションで付けられるのが普通でほぼ同じ商品を作れます。

国内旅行傷害保険がベース

また、年間契約型の傷害保険ではなく、旅行期間中のみを補償する国内旅行傷害保険をベースに補償内容をアレンジして、スキー・スノボプランとして販売されている保険があります。

例えば、ドコモやソフトバンクがやっているスキー・スノボ保険も、中身は単なる1泊2日に限定した国内旅行傷害保険です。

つまり、

  1. 旅行期間中の事故から生じた障害であれば、スキー中やスノボ中から生じたもの以外(駅の階段で転んだ等)も補償対象となります。
  2. また、携行品特約の対象となる携行品も、スキー・スノボ道具だけではなく、それ以外のカメラなどの身の回り品も対象となります。

したがって、1日とか2日とか日数限定型のスキースノボ保険を検討する場合、通常の旅行傷害保険も比較対象に加えて検討する必要があります。『スキー・スノボプラン』という名前だからと言って、保証範囲がスキー・スノボ道具に限定されている結果、保険料が安くなっているということはありません。

具体例

通常の年間型傷害保険

保険名プラン死亡
入院
通院
損賠責携行品救難保険料その他
チューリッヒ保険パーソナルタイプ節約プラン300万円
3,000円
5,000万円年額
7,060円
家族型夫婦型あり
三井住友海上GKケガの保険普通傷害プラン(本人型)500万円
2,000円
1,000円
3億円10万円年額
13,220円
家族型夫婦型あり
au損害保険ケガの保険ブロンズコース100万円
2,000円
1億円年額
4,300円
家族型夫婦型は無し

年間型傷害保険ベースのスキー・スノボ保険

保険名プラン死亡
入院
通院
損賠責携行品救難保険料その他
三井住友VISAポケット保険スキースノボSコース100万円
1000円
500円
1億円10万円100万円年額
6,600円
夫婦型家族型あり
カード会員のみ
Yahoo!ちょこっと保険スキー・スノーボードプランスモールセット本人
1,000円
1億円10万円100万円年額
3,240円
夫婦型家族型あり
Yahoo!ウォレット登録者のみ
Yahoo!プレミアム会員である必要はなし

通常の国内旅行傷害保険

保険名プラン死亡
入院
通院
損賠責携行品救難保険料その他
三井住友海上国内旅行傷害保険2,713万円
3,000円
2,000円
3,000万円10万円150万円1,000円

国内旅行傷害保険ベースのスキー・スノボ保険

保険名プラン死亡
入院
通院
損賠責携行品救難保険料その他
NTTドコモスポーツ・レジャー保険おてがるプラン297万円
4,000円
2,000万円10万円一時払300円(1泊2日)ドコモ契約者のみ
ソフトバンクスポーツ・レジャー保険 1日プランちょこっとプラン360万円
5,000円
2,000万円100万円一時払300円(1泊2日)ソフトバンク契約者のみ

携行品特約は要注意

年間型の障害保険と国内旅行傷害保険においては、携行品特約に違いがあるので要注意です。

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まず、国内旅行傷害保険における携行品特約は、通常、身の回り品ならほとんど補償対象です。つまり、株券、出版原稿、設計図等、何でそんなもの持ち歩いているのかというような物などの一部例外を除けは(気になるものは問い合わせる!)、身に着けていた物が旅行中に破損したり盗難にあったりすれば、大抵は補償されます。

では、年間型の傷害保険の場合はどうでしょうか。

そもそも年間型の傷害保険に付帯できる携行品損害特約とは何を補償しているのでしょうか。

これは、家の外(厳密には敷地の外)で身の回り品が破損したり盗難にあったりした時に、多くの場合は10~30万円くらい補償されるというものです。

これを聞いて、もしかしてこれすごい便利なんじゃないかと思った人、要注意です。

じつは、年間型の傷害保険に特約として付帯する携行品損害保険においては、携帯電話・スマホ・タブレット・ノートPCといった携帯型の電子機器はほぼ例外なく補償の対象外として約款に記載されています。

したがって、通常の年間契約型傷害保険の場合、それがスキー・スノボプランという名前だろうがそうでなかろうが、携行品特約があっても、スマホなどは補償されません。

その一方で、国内旅行傷害保険型の携行品特約だと、一緒にもっていったスマホやタブレットも補償対象となります。

このように、携行品特約において、一番保険が欲しいところのスマホ・タブレット・モバイルPCについて、年間傷害保険と国内旅行傷害保険では大きな差があるので要注意です。

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クレジットカード付帯保険

携行品特約

以上を踏まえると、携行品についてスマホやタブレットも含む保険が欲しい人は、国内旅行傷害保険に入ったほうが良いということになりそうです。

すると、そういえば自分のクレジットカードには国内旅行傷害保険がついていたから、スキー旅行代をそのカードで払えば万時解決と思った人もいるかもしれません。

実はこれも要注意。

クレジットカードで、国内旅行傷害保険が付帯されるカードは数多くありますが、結論として、携行品特約付きの国内旅行傷害保険が付帯するクレジットカードは存在しません。

また、多くのクレジットカードに付帯する国内旅行傷害保険は、海外旅行傷害保険ほど手厚くなく、死亡保険金と後遺障害保険金があるのみです。そして、国内旅行傷害保険が手厚いと謳っているカードの場合には、入院手当や通院手当てが含まれていることが多いですが携行品特約まで入っているカードは存在しません(ゴールドやプラチナでも)。

したがって、携行品特約が欲しい場合には、国内旅行傷害保険またはそれベースのスキー・スノボ保険に別途加入するしかありません。

個人賠償責任特約

個人賠償責任特約も、クレジットカード付帯の国内旅行傷害保険ではついていることはありません(ゴールドとかプラチナでもついていないはず)。傷害保険(自分の怪我)は我慢するとしても、人様に怪我させてしまったときの個人賠償責任保険だけは最低限のマナーなので、何らかの形で加入する必要があります。

個人的まとめ

  1. 傷害保険と個人賠償責任保険だけは入っておいた方が良い。特に、個人賠償責任保険は最低限のマナーとして入るべき。
  2. スキー・スノボ向けのプランやコースというものに特別な補償はないので幅広く検討すべき。
  3. スマホやタブレット等の携帯型電子機器も対象となる携行品損害保険が欲しい場合、年間型傷害保険の携行品特約では対象外となるので、国内旅行傷害保険に別途入るほかない。
  4. 国内旅行傷害保険は、保険期間が旅行期間に限定されるため1日当たり保険料で換算すると割高という計算にはなるが、支払額自体は数百円なのでそんなに損した気分にはならない。
  5. 個人的には、年間契約型の傷害保険に入るのであれば、チューリッヒ保険のような、傷害保険と個人賠償責任保険のみのシンプルなものに入り、携行品特約や救難費用特約は旅行の都度、国内旅行傷害保険に加入した方が良いと思われる。
  6. クレジットカード付帯の国内旅行傷害保険は、携行品特約も付帯せず、また、個人賠償責任特約も付帯しないので、スキー・スノボ旅行ではあまり役に立たない。

おわりに

スキー・スノボ保険について説明しました。

『スキー・スノボ保険』という名前を聞くと、なにかスキー・スノボに特化したメリットがあるように誤解してしまいますが、実は一般の傷害保険もしくは国内旅行傷害保険と実質的には何も変わらないという点には注意が必要です。

もっとも、そう考えると、選択肢が広がって保険の比較が面倒になってきてしまいますけどね。

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